特別のコンサート

昨晩、東京オペラシティであったコンサートは特別なものだった。ピアノアルゲリッチ、指揮小澤征爾のベートーヴェンピアノ協奏曲第2番。ライブでこの曲を聴くのは初めてだったように思う。30年前、ボストンの学校に通っていたころには、当時ボストンシンフォニーの常任指揮者だった小澤が指揮するコンサートにはしばしば通っていた。日本に帰ってからも1、2度は小澤のコンサートには行ったと思うんだけど、昨晩の小澤の老いた姿を見て30年前、さっそうとステージに登場していた頃からの時間の流れと人は老いていくことをあらためて感じた。
アルゲリッチは、小澤の保護者のごとく、老いた小澤をささえるように、コンサートを楽しんだ観客の拍手にこたえるために何度もステージ中央に立ちあいさつを繰り返していた。
そしてもうひとつこのコンサートを特別なものにしたのが、上皇ご夫妻がいらっしゃったことだった。観客は、前方だけでなく、後方にも向かって、長い時間にわたって大きな拍手をした夜だった。
水戸室内管弦楽団の演奏も素晴らしかった。初めて聞いたA.ウェーベルンの「弦楽のための5つの楽章」(指揮者なし)が良かった。