オプションは買うもので、売るものではない(われわれ素人にとっては)。

 駒沢大学、立正大学で150億円前後の運用損がでていることが報道されています。駒沢大学の場合、バランスシート全体の大きさが950億前後のようですから、そのサイズで150億円の損失とは、かなり痛い! 過去、本業の不振をカバーするために、無理な不動産投資を行って倒産した専門学校の記事をなんどか読んだことがあります。駒沢大学の場合には、そのようなことにはならないでしょうが、損失をカバーするために、銀行借り入れを行ったようなので、今後、その借り入れの返済が非常に大きな負担になってきます。
 さらに、今朝の新聞によると、サイゼリアでも140億円の為替損だとか。
 これらの記事では、損がどうしてでているのか、詳細は報道されていませんが、ほとんどが、資金運用あるいは為替取引等において、リターンをよくする、あるいはコストをすこし下げるために、銀行あるいは証券会社に対して、オプションを売っています。サイゼリアの社長さんは、ここまで豪ドルが円に対して安くなるとは思っていなかったと言っていますが、たぶん、ほとんどの人は同様に感じているはずです。でも、ただでリターンがよくなったり、コストがさがったりなんてことは絶対になく、あるいは、一般の学校法人、事業法人や個人が、プロの金融機関に勝てることは通常なく、また、金融機関は自分たちに都合のいい話以外をもってくるはずもなく(と思っていれば、裏切られたなんと思うこともない!)、われわれアマチュアが、最悪のケースを想定しないまま、オプションを売ることは、絶対にやってはいけないことだと思います。オプションを売ることは、想定以上の変化がおこった時、信じられないような損を被ることになります(実需なくして、オプションを売る取引を行うなんて、怖くてできません)。
 私立大学は資金運用のため、かなりが「財テク」を行っているはずです。駒沢、立正以外にも、実はボロボロ出ていると思います。横並びの日本社会、証券界社や銀行は、「この商品が、売れています」なんて言って、担当者を安心させてくれます。最終的な意思決定者も、ITや金融のことは、十分に勉強していないことが多く、現場に任せきりということがまだまだ多いのではないかと思います。
 ハーバード大学も、資産運用には相当力を入れていますが、彼らのところでも、かなり損失が発生しているのではないかと思います。ただしその理由は、マーケット全体が大きくさがっているからで、不用意にオプションを売っているからではないはずです。