詩人の言葉
posted at 2008.07.30
2年前になくなられた茨木のり子さんの言葉。まだお会いしたことのない方のブログで発見。茨木さんの詩集では、「倚りかからず」は読んだことがありました。最後の「ばかものよ」が好き。
ぱさぱさに乾いてゆく心を |
ひとのせいにはするな |
みずから水やりを怠っておいて |
* |
気難しくなってきたのを |
友人のせいにはするな |
しなやかさを失ったのはどちらなのか |
* |
苛立つのを |
近親のせいにはするな |
なにもかも下手だったのはわたくし |
* |
初心消えかかるのを |
暮らしのせいにはするな |
そもそもが ひよわな志にすぎなかった |
* |
駄目なことの一切を |
時代のせいにはするな |
わずかに光る尊厳の放棄 |
* |
自分の感受性くらい |
自分で守れ |
ばかものよ |
カテゴリー:パーソナルな気持ち