『ほんとうの環境問題』(池田清彦、養老猛司著)

 先日東京ビッグサイトであったWeb2.0のイベントにいったら、来客者の名刺と交換に、エコバッグを配っている会社がありました。去年は、有名なイギリスの鞄デザイナーによるエコバッグを買うために、伊勢丹の前に早朝から並んだ女性たちが大勢いて、買えなかった成金女が店員にくってかかったという話を聞いた覚えがあります。
 環境のことを本当に考えているのなら、エコバッグなんてまず作らないこと!だって、バッグを一つも持っていないなんて人は、もう、いないんだから。ものを作ると、エネルギーを新たに消費し、環境の破壊につながっていきます。無駄なものは買わない、作らない、買わせない。広告代理店のひとたちには申し訳ないけど、つまらないキャンペーングッズなんかも、できるだけ作らない方がいいと思うんだけど。
 この本『ほんとうの環境問題』は、主義主張のため、ロマンチシズムのため、ブームに乗るため、意識が高くて優しい人と思われるため、そんな理由から、環境問題を口にしている、そんな人たちが読んでみるといい本。
 地球温暖化のことがいろいろと話題に出ますが、実は、事実関係がまだよくわかっていないということを最初に押さえておいた方がいいと思います。本当に温暖化が進んでいるのかということからして、科学者の間でも議論が分かれていること、マスコミは温暖化など進んでいないという議論をあまり伝えようとはしないことを、覚えておくべき。今の時代、温暖化が進んでいるという記事の方が売れますからね。

 それから、8月の洞爺湖サミットで、環境問題に関して、つまらない約束をしないことを祈っています。京都議定書で自分の首を絞めるようなCO2削減のコミットメントを行いましたが、再度、議長国ということで、大盤振る舞いをするのではないかと危惧しています。そして、マスコミの多くは、それをよしとするのではないかと。