NHK『日本の、これから』をみて
posted at 2007.06.23
何ヶ月ぶりかで、テレビ番組を見ました。NHKの『日本の、これから』。最初見落としましたが、成果主義、長時間労働、3年で辞める若者の3つのトピックについては、見ました。一つひとつが難しいテーマで、テレビの中で議論しつくすことは難しく、物足りなさが残りました。
学校のキャリアカウンセラーから言われた、「仕事は自分を輝かせるもので、会社は自分の夢を実現する場所だ。それをかなえることは、会社の義務だ。」を信じ込んでいる大学生がいて、新鮮でもあり、また、このカウンセラーはいったい、どのような人なのだろうかと、不思議に思いました。
会社を経営している僕も、仕事を通じて、一人ひとりが輝き、かつ夢を叶えていくことができればうれしいと思っています。でも、仕事は、まず体力的にも苦しく、精神的にもたいへんなことが多いです。どちらかというと、苦しい時間の方が長いかもしれない。また、自分に相応しいとか、自分に合った仕事がなにか、自分がやりたいことなんて、簡単にはわからないです。で、社会人になって、20年以上、会社をやり始めて10年働いてきましたが、ようやく、物事や自分のことが見えてきたのかなと思えるようになりました。
だから、テレビで見たような大学生には、社会に出て、自分が当然の「権利」と思っていることと、現実のギャップにショックを受けないように、アドバイスをしてあげたいくらいです。(自分が挑戦して、自分が幸せになる努力をしていかないといけないこと。そんな基本的なことを、20歳にもなった大学生に、どうして教えないのか?)
もっと直接に言ってあげれば、そんな夢の世界に住んでいるキャリアカウンセラーの魔法から早く目を覚ましなさい。それよりも、そのキャリアカウンセラーが言っているような会社を自分で作ってみることに挑戦してみるくらいのことを考えてみなさいと、言ってあげたい。
成果主義にしても、長時間労働にしても、会社側に一方的に責任があり、働く側は常に弱いという議論は、決して正しくないと思います。(そう思っている人は、ドラッカーでも読んで、もう一度勉強し直すべき)優秀な人であるほど、これからの時代は、働き方、働く場所においても、選択肢が増えていきます。優秀な人間を採用し、維持していくために、会社はさまざまな工夫をしていかないといけないです。優秀な人材の確保、ユニークな戦略、競争企業との差別化、適正な利潤の確保、そしてまた優秀な人材の維持と確保。会社は、そのようなサイクルを、地道に、飽きることなく、続けていきながら、一歩ずつ、階段を上がっていくのではないかと思います。
残念ながら、業界によっては、長時間労働をどうしてもさけることができないところが多いと聞きます。番組でも、飲食業界で働いていた若い女性が、倒れるくらいに働いていたことを話していました。最近、採用面接で話を聞いた方からも、同じようなことをお聞きしました。そのような業界で働いている人たちに、なんと言っていいのか、答えはないのですが、健康には気をつけ、自分を大切にすることだけは忘れないようにしてほしいと思います。
個人の側からすると、もっと自分の生き方を、本当に真剣に考えることだ。日本人はそれをずっと怠ってきたのだと思います。なにを得るために、なにを犠牲にするのか。こんなに均一化が進み、多数と同じではないと不安になるという社会は、異常だとさえ、思います。若い人たちの間で、「人生論」をかたり合う友人を持つ人が、少なくなっていると聞きます。若いうちにこそ、なにを求めて、なにを犠牲にするのか、考えてみた方がいいですよ。