90歳の不敵な面構え

10月30日、白川静さんが亡くなられた。宝ヶ池の国際会館で何年かにわたって行なわれていた先生の文字講話を聴きに、何度か京都に行ったことがあります。90歳を越えてなお、2時間にわたる講義を立ったままで行なわれる先生でした。その白川先生に関して、日経新聞の文化欄に、民俗学者の谷川健一先生が書かれていた追悼の文章から、心に残った言葉:

「白川静氏の学問は独力で勝ち取った『国取り』の野武士の学問であった。それは90歳を超えてもなお失われなかった氏の不敵な面がまえがよく物語っている。世襲の禄高を受けついで安穏に暮らす武家、現代で云えば、アカデミズムの狭い世界に安住する学者とは全く無縁な人生をたどってきた。」

「白川氏は狂気を高く評価した。狂気の人でなければ既成の権威の壁を突破し、神に近づくことはできないと考えた。」