先日、「1941 決意なき決戦 (現代日本の起源)」という本を読みました。著者は堀田江理という東京生まれでプリンストン、オックスフォードで教育を受けた方です。まず英語で書かれたこの本は、次に著者自身によって日本語訳されています。ホノルルのバーンズ&ノーブルでもこの本がありましたが、今の僕には英語で読む時間も気力もないです。
1941年、日本の指導部が開戦への意思決定を行うプロセスをたどった仕事です。300万人の日本人が亡くなる結果となるアメリカを始めとする連合国軍との戦いを決めた日本のリーダーたちが、なんと近視眼的で、感情的で、長期的プランもない、「ギャンブラー」たちであったのかを確認することができます。読者体験は決して軽いものではないです。
副題に「現代日本の起源」とあるように、著者の視野はフクシマで再度我々の目前に示された日本のエリートたちの無責任さにまでつながっています。1941年から現在まで、この国の本質的な課題は変わっていないということを改めて実感します。
実は先週二日ほど休みを取って真珠湾を見学に行きました。この本を読み始めたことが動機の一つにあります。アリゾナメモリアルが1941年の開戦の象徴だとすると、すぐそばに停泊している戦艦ミズーリ号は1945年9月2日の日本降伏を現在に伝えています。時の重光外相がサインした降伏文書は調印式が行われたデッキで展示されていました。歴史の教科書で見たあの写真の場所です。1945年9月2日、ミズーリ号は東京湾に停泊していましたが、「引退」した今は、真珠湾で静かに余生を送っていました。
数日間で往復したのでしんどかった旅行ですが、これまでのハワイ体験とはちがった意味ある旅行でした。
あと数日で2017年。来年は、会社の事業の柱となっているオフィスの資格試験をはじめて20年、ビジネススクールを卒業して30年になります。2017年はあらたな気持ちを持って迎えたいと思っています。