絶対貧困と相対貧困

午前中偶然なんだけど、移動中のクルマのなかで、ほんの数分だけ、国会中継(参議院予算委員会)を見る機会があった。 前川 清成(民主)という議員が日本の貧困状況に関して質問し、総理大臣あるいは厚生労働大臣が回答するのだけど、総理または厚生労働大臣が、相対貧困の定義あるいはその求め方について、はっきりとは理解していないことが伺えた。厚労大臣は日銀出身でお勉強ができる方だと思っていたけど、その方が役人にサポートしてもらいながらも、正面から質問に回答できない様を見るのは、ちょっと残念だった。

相対貧困の話は統計の知識が問われる話でもあって、あらためて統計の知識の大切さを実感した。(だから「ビジネス統計スペシャリスト」を受けましょう、という宣伝ではないけどね)

僕自身、相対貧困のもとめ方は知らなかったので、以下のような情報をみて、にわか勉強をしています。

貧困率よくある質問(厚労省HP)

相対的貧困率等に関する調査分析結果について (内閣府、総務省、厚労省)

相対的貧困率とはなにか(雑誌「ビッグイシュー」HP)

国会中継なんて好んで見ることはないけども、大切な情報源なのは確か。
このようなサイト(→国会TV)には頑張ってもらいたい。

「規制の虜」(黒川清著)

副題は「グループシンクが日本を滅ぼす」。グループシンクはgroup thinkのこと。
この本はどういう本かと簡潔に言うと、「日本を代表するエリートによる、既得権を守ることに四苦八苦するエリートへの批判と絶望の書」というところか。
著者は国会が作った福島原発の事故調査元委員長。その経験をもとに書かれた本。東大医学部卒、カリフォルニア州立大学医学部教授、東大医学部教授、日本学術会議会長、等々の経歴。

まっさきにこんな文章で始まるのだから絶望的になってくる。

「志が低く、責任感がない。自分たちの問題であるにもかかわらず、他人事のようなことばかり言う。普段は威張っているのに、困難に遭うと我が身かわいさからすぐ逃げる。これが日本の中枢にいる『リーダーたち』だ。政治、行政、銀行、大企業、大学、どこにいる『リーダー』も同じである。日本人は全体としては優れているが、大局観をもって『身を賭しても』という真のリーダーがいない。国民にとって、なんと不幸なことか。福島第一原子力発電所事故から5年が過ぎた今、私は、改めてこの思いを強くしている。」

この本のなかにはふたりの例外的な日本人があげられている。朝河貫一、山川健次郎。彼らの残した業績はもっと広く紹介され勉強されるべきでは。特に隣国との関係が悪化し、過去と同じ蹉跌を歩もうとしているかに見えるいまの時代、1909年に出された朝河貫一の日本への警告(「日本の禍機」)はもっと読まれるべきでは。

日本のシステムが変わらない限り、これから本当に優秀な日本の若い人たちは東大なんかにはいかないのではないかと思う。あるいは日本の大学を卒業したとしても、活躍の場を日本以外に求めていくのではないだろうか。

問題はいまのシステムを変えるにはどうすればいいのかということになる。
そのためには、この本のなかで、何度も先生が使われている「独立した個人」が日本に増えていくことに尽きるように思う。group thinkではなく、independent think。

ランス・アームストロングとスティーブ・ジョブス、ふたつの巨大なエゴ

今週は取引先が主催するアジアのビジネスパートナーのカンファランスに出席するために久しぶりにタイへ。
往復の機内で2つの映画を観た。行きは「スティーブ・ジョブス」、そして帰りにはランス・アームストロングのドーピング疑惑を追った「The Program」。
スティーブ・ジョブス、ランス・アームストロング、どちらも強烈なエゴを持ち、ひとりはヒーローとしてこの世を去り、ひとりはヒーローとしての仮面を引きはがされ、屈辱からまた立ち上がろうとしている。

映画「スティーブ・ジョブス」は日本でもすでに公開されている。映画「The Program」は、今年の夏に日本でも公開されるみたいだ。(→公開予定のニュース)映画の公式ホームページはこちら。(→The Program

ランス・アームストロングには複雑な思いでいっぱいだ。

「日本海(その深層で起こっていること」(講談社ブルーバックス)

著者は長野の上田生まれらしいので、生まれは山国といっても間違いではないのに、専門は化学海洋学。
太平洋側で生まれ育ったぼくだから一層感じたのかもしれないけど、日本海の歴史(日本列島の誕生と同時進行であった日本海の成立)、日本の歴史、気候、文化への影響など、読んでいてとても関心を惹かれるテーマの連続。
富山県が作った『環日本海・東アジア諸国図(通称:「逆さ地図」)』 (B1判、1/450万)の紹介があって、さっそくこの地図を注文することにした。

日本人論というとすぐに農耕文化とか、百姓根性だとか、士農工商の話になって、ぼくはちょっとうんざりしている。なぜ、漁師は「士農工商」に含まれていないのか?明治以降、太平洋側の発展ばかりが話題になるけど、日本の歴史に「裏日本」が果たしたい役割を正当に評価しているのか?

日本海というテーマで読んでみたいなと思った本をアマゾンからリストアップしてみると、結構な数になった。例えば以下の通り:

1日本海繁盛記 (岩波新書)
2 日本海学の新世紀〈6〉海の力
3 日本海と北国文化 (海と列島文化)
4 古代の日本海文化―海人文化の伝統と交流 (中公新書)
5 海の史劇 (新潮文庫)
6住まいからみた人と神の生活 (シンポジウム・古代日本海域の謎)

日本海側の町といえば、今年は山形の酒田にも行ってみたいし、山口県の萩にも行ってみたい。体調が良くなってまたサイクリングできるようになったら、能登半島や佐渡島のセンチュリーライドにも参加してみたいものだ。