円安を希望する亡国論者。

円安で得をしている企業は日本全体で一体何割程度なのか?国全体としてみたときには円高の方がいいに決まっているのに、相も変わらず円安希望の企業人がいることに、うんざりしてしまう。株式市場も、円安になるとプラスの反応を見せたりする。これにも、うんざりする。
金利もゼロがいいという企業人がいて、なにを言っているんだと言いたくなる。
資産家たちは、海外にカネを動かしているというから、彼らも円安を歓迎するのだろうか。せっかくドルに換えたのだから、ドル高の方が気持ちはいいだろうし。

ゼロ金利と円安のお蔭で、日本経済の非効率は温存されたままで、新陳代謝はいっこうに進まない。結局、構造改革を行うことは、人を切ることにつながるので、だれも嫌われ役なんて演じたくない。経営者(企業)も、政治家(国家)も、人を切ってうれしい人なんていやしない。だから構造改革はなかなか進まず、組織はじわじわと沈んでいく。

切られた人は教科書的に言えば、再訓練を受けて、成長分野に移動していくべきなんだけど、人間年取ってくると勉強する気力も体力もなくなるし、変にブライドだけは高くなってゼロから再スタートするなんてことは、そう簡単にはできなくなる。

今日、ある会合でエコノミストの話を聴いていて、最後に「企業をいい意味で揺さぶるには円高しかないのでは?」と質問したところ、「自国通貨が値上がりして滅びた国家はない」と賛成のお答えをいただいた。

いつかきっとこんな日が来るのではないかと思う。日本国内に十分な貯蓄がなくなり、海外からのカネに頼らなくてはいけない。そのために、円がいかに有利な通貨であるかという宣伝を国をあげてしなくてはならない日が。そのときになって、円高こそ日本にとって望ましいことだと、なるのだろう。その前に、延命のためにひたする円安を望んでいた企業はとっくになくなっているだろうけど。

エルンスト・エンゲル

久しぶりの札幌。そして7、8年ぶりの帯広。
昨日、7時半の羽田発で札幌へ。今朝、8時1分発のJR北海道で札幌から帯広へ移動、16時帯広発の便で羽田へ。
札幌、帯広ではともに取引先の方々と食事会を行い、札幌ではお客さんである北海学園大学の先生を訪問。
北海学園大学で偶然手にした経済学部の論文集(北海学園大学経済論集大63巻第1号、2015年6月)が面白かった。その中に含まれる『エルンスト・エンゲル,もしくは「脂ぎった下僕」にならない生き方について』太田 和宏著。この論文で、エンゲル係数でのみ馴染んでいたエンゲルが、ビスマルク時代のプロイセン王国の統計局長官で、官庁統計を整備し、統計教育に努めたことを初めて知った。

エンゲルに関する、以下のような著者の評価にとても関心を持った。

「エンゲルが死んだ数字を扱う技術者なのではなく、統計家、教育者、啓蒙主義者などこれまでみてきた諸側面を一人の人格においてみごとに融合した人であり、ヒューマニズムを根底にすえつつ、時の問題に果敢に立ち向かう人だということである」。

エンゲル係数を生んだ人はそういう人だったのかと、この人物へ強い関心を持つことになった。
著者は、この論文以外でもエンゲルのことをお書きになられているようなので、そちらも読んでみたい。

新聞断食を始めようか?!

先週と今週は忙しい。先週は火曜日の深夜便でサンフランシスコに行き、O'Reilly MediaのNext:Economy カンファレンスに参加。2日間のイベントが終わり次第、また金曜日の深夜便で帰国し、日曜日早朝羽田。月曜日午後から火曜日まで大阪。今日は今日は朝から夜までアポがあって、明日は7時半の飛行機で札幌。
それなりに休憩はとっているから風邪気味の身体でもやっていけるのだけど、これだけオフィスから出ていると、困るのは新聞がたまってしまう事。
家でとっている朝日はどうにかこなすとしても、会社でとっている日経、東京、そしてFTは未読のままどんどん溜まっていく。
しばらく「新聞断食」でもやってみようかしら。
ただ、証券投資をやっている限り、新聞からの情報を遮断するのには、ちょっとした踏ん切りが必要になる。

今日はテキサスから日本を訪問している起業家と夕食。彼はもう起業した会社を売却して悠々自適の生活のなかで、30年後、40年後の世界を考えながら、世界中を旅行しているという、羨むべきポジションにいる人だけど、ときにそういう人と話をするのは刺激になる。つまり世の移り変わりの本質を見ようとしているということだから。
彼とは「エコノミスト」誌の記事のことで話をしたけど、日本株に投資していなかったら、FTとEconomist の2つで十分なんだけど。

札幌はもう冬のような天気みたいだから、風邪を悪くしないように気をつけよう。