『確率論と私』(伊藤清著)

日本が誇る数学者、伊藤清(1915-2008)のエッセイ集。先生の著作の中で、ぼくのような数学オンチが読める本はこの本一冊のみだと確信をもっていえます。お金に頓着せず、研究にすべての時間をささげた方の成果が、ご本人の意図しない形でウォールストリートのオプション理論に応用され、金もうけの武器として利用されたという皮肉。そのことをこのエッセイ集の中で、「喜びより、むしろ、大きな不安に捉えられた」と書かれています。
先生の理論をすこしでも理解できるようになりたいものです。