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「ピアニストは語る」(ヴァレリー・アファナシエフ著)

現代ピアニストの一人。ロシア出身で亡命したベルギー在住。ぼくはこの人の音楽を聴いたことはなかったけど、書評を読んでおもしろそうだったので買ってみた。一気に読んだけどもとてもいい本だった。
この本を読んで、彼の演奏も聴いてみることにしたし、彼の先生でもあったエミール・ギレリスの演奏も。
リヒテル、グールド、ミケランジェリ、ラフマニノフ、マルゲリッチなどに関する彼の意見はとてもおもしろかった。特にぼくが好きなリヒテルについて。

アファナシエフは文筆業も行っているそうで、彼の言葉や人生哲学もおもしろかった。例えば、以下のような話。

「プラトンの『メノン』などの対話編によれば、知識とは想起、すなわち自分がすでに自らの裡に持っているものを想い起こすことだということです。あなたの心は、すでにすべてを持っている。(中略)ほんとうの知識は、外から来るのではないのです。これがとても重要です。なぜならそれは、すべてはすでに自分の裡にあるということなのですから。あなたが外に出て行くのは、ふたたび自分に帰るため、自分自身からスタートし、正反対のものまで行き、しかる後に再び自分自身へと還ってくる。それが創造という行為なのです。正反対に行くことによっていったん自分を否定して、しかる後にその、自分とは正反対のものまでをも自らの一部となした上で、再び自分へと還っていく。この往還の行為こそが、ヘーゲルが口を酸っぱくして言っていた弁証法なのです。」