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『「慰安婦」問題とは何だったのか』(大沼保昭著)

先週後半に風邪を引いてしまい、この3連休はほぼ家で自制状況。スキーに行く元気全くなし!

本書は、何年か前に買って、「積ん読」状況になっていた本。仕事でも韓国や台湾の人たちとの付き合いがあります。彼らとは歴史的な出来事について、大っぴらに議論したことはありませんが、「この人は、われわれ日本人に対する警戒心を持っているのだろうな」と感じた人も中にはいます。僕の知り合いの人たちは、多くが日本に来たことがあり、日本のこういうところが好きだと言い、なかには「尖閣諸島は日本に分があるよ」という中華系の友人もいます。そして、「日本には行ったことがない。日本にはいくつもりもない」という知り合いもいるのです。

大沼先生は、アジア女性基金の呼びかけ人のお一人で、このアジア女性基金について、この本を通して、あらためて理解を深めることができました。この基金の呼びかけ人の中には、個人的に存じ上げていた方もいますし、その著書をかなり読んでいるという方もいます。「左から右」まで、かなりの幅の方々が呼びかけ人に含まれています。

このアジア女性基金は2007年3月末にその活動を終了し、その年の6月に、大久保先生はこの本をだされています。かなり急いで書かれたのかなと思われるところもあり、この本に対する感想は多々あるかもしれませんが、この本が取り上げているアジア女性基金は、もっと「正当な評価」を受けていいのではないかと思いますし、関係者の努力には敬意を払いたいです。

慰安婦への補償を巡って各国のNGOの対応に大きな差があったこと(ナショナリズムに結びつけて日本側の気持ちを最後まで受け入れようとしなかった国もあれば、年老い、経済的にも恵まれていない個々人の要望を優先させた国もあった)、法的責任と道義的責任を巡る議論、先入観と自分のイデオロギーにとらわれてしまっているメディアやNGOの話など、勉強になりました。そして、正義観ほど取り扱いが難しいものはないと、あらためて感じました。

戦争に関わる「償い」には一気の解決策などないでしょう。だから、さまざまな意見や理想を持つ人たちがいて、大きな制約があるところで、all or nothingの議論になってしまうことなく、少しでも前進していくが大切なのでは?

英語ももちろん大切なのだけど、それと同時に、おつき合いしようとする国々との歴史をしっかりと認識しておくことは非常に大切だと思います。「グルーバル化の前に必読の100選」なんて名前で、読んでおかないといけない歴史本のリストを、どなたか作っていただけないものでしょうか?その中の一冊として、大沼先生の本は含まれていて、いいのではないかと思いました。