野球ファンには申し訳ありませんが、開幕戦には反対します。

 これだけの被害者を出し、まだ行方不明の方たちが大勢いて、首都圏では皆が節電に協力している中、「被害者を勇気づける」という自分勝手にも思えるスローガンのもと、多大な電力を使って開幕戦を押し切ってでもやろうとするプロ野球のオーナーたちの姿勢には反対します。

 昨日も書きましたが、Jリーグの決断にはエールを送ります。Jリーグの場合には、外人監督たちが放射線を浴びる怖れから日本を離れてしまい、試合ができないという現実的な状況があるからかもしれませんが、すくなくとも今月一杯はプロ野球も様子を見るべきだと思います。

 プロ野球のオーナーたち、理事たちは、石原都知事風に言うと、「我欲」にとらわれた集団に見えます。もしやるのなら、今月中行う試合からの収益をすべて寄付するくらいのこと、考えてもらえないでしょうか。

 また、これだけ節電を訴えている政府は、毎日、綱渡りを行っているのに、どうして中止協力のお願いを出せないのか。そうすれば、節電の訴えにもっと国民からの理解がえられるでしょう。

 もちろん、僕は経済統制とかには大反対です。でも、野球のように、目の前の生き死にには関係ないことが多大な電力消費を行うことが許されるのか?

 同じスポーツのように見えて、高校野球とプロ野球は違います。甲子園で東北の選手たちが出場し、懸命に野球をやることは、きっと地元の人たちにも「勇気と希望」を与えてくれるでしょう。それはプロ野球と違ってお金とは距離をおいた行為だから。でもプロ野球は興行の世界であり、お金と引き換えに見てもらうエンターテイメントです。性格に大きな違いがあります。

 選手会は、開幕戦実施に反対の声が強いと聞きます。オーナーや理事たちよりも、ずっと常識を持っているなと感心しました。

追記

多くの外資系企業や外国人たちが東京、日本から「脱出」しています。そんななか、東京は大丈夫だ、日本は元気にやっている、それをアピールするためにこそ野球だなんて発想が、どれだけ意味のないことなのか。正確な情報と、冷静な判断(結果、正しいかどうかは別)に基づいて意思決定したい。