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書籍『奇跡のリンゴ』(石川拓治著)

 あけましておめでとうございます。2009年もよろしくお願いします。
『奇跡のリンゴ』は、2009年最初に読み終えた本。昨晩からずっとこの本を読みながら、新年を迎えました。
 無農薬農法によるリンゴ作りに成功した木村秋則(あきのり)さんの物語です。一人の人が、生きている間に取り組むべき仕事とは、どういうことなのか、考えてしまいます。この方のように、金も、名誉にもまったく興味を持たず、ひたすら自分が使命と信じることをやり通していく方を尊敬します。
 2008年中訪問した場所の中で、ひときわ記憶に残っているのが青森の弘前です。この木村さんがリンゴ作りに励んできたのが、この弘前の岩木山ふもと。弘前には、ほんの4時間ほどしかいませんでしたが、もう一度、きっと訪問するだろうなと思っています。青森空港からバスに乗って弘前市内に向かう途中目にした岩木山とリンゴ農園が忘れられません。
 この本を読むと、現在の農業が農薬漬けになっていて、安全なリンゴを作ることと、安全にリンゴを作ることのどちらもできていないこと、いまのようなリンゴ作りに疑問を持っている方も多いこと(自分にはできなくても、10年以上も苦節を重ねた木村さんを陰ながら応援している人たちがいた)、木村さんが自分のりんご園から学んだことが非常に普遍的な価値を持つこと、木村さんがリンゴ作りから「システム発想」をどんなシステム発想の研究者よりも体現していることを知りました。
 「人が生きていくために、経験や知識は欠かせない。(中略)けど人が真に新しい何かに挑むとき、最大の壁になるのはしばしばその経験や知識なのだ。」「パイオニアは孤独だ。何か新しいこと、人類にとって本当の意味で革新的なことを成し遂げた人は、昔からみんな孤独だった。それは既成概念を打ち壊すということだから。過去から積み上げてきた世界観や価値観を愛する人々からすれば、パイオニアとは秩序の破壊者の別名でしかない。」「岩木山で学んだのは、自然というものの驚くべき複雑さだった。その複雑な相手と、簡単に折り合いをつけようとするのがそもそもの間違いなのだ。」
 われわれ人間も、その複雑な自然の一つでしかないのだから、自分を、そして他人を理解することも、簡単なことではないということも、この本を読んで感じることの一つです。
 この本の表紙にある木村さんの顔写真から、パイオニアとしてのご苦労を想いました。たいへん立派な方だと思います。