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「獄窓記」(山本譲司著、新潮文庫)

国会議員であった著者に秘書給与疑惑が発覚したとき、マスコミの報道は辛辣で下世話なものだったのを覚えています。僕のご本人に対するイメージは、マスコミの色眼鏡を通して得たものでした。マスコミの無責任さと恐ろしさをあらためて感じます。

 今日は雪ということもあり、午後はずっと部屋の中でこの本を読みました。久しぶりに感動的な本でした。国会議員から受刑者へ。それがどれだけ屈辱的なことかは、経験者にしか分からないのではないかと思いました。ご家族、特に奥さんの献身的な存在がどれだけ著者にとってささえとなったことか。この本は、さまざまな問題を提起しています。障害者と刑務所のありかた、日本の司法制度の問題、国策捜査などは、その一例です。

 議員辞職だけでなく、一審判決を潔く受入れ、刑務所内でも障害者たちの下の世話までしていた著者の真摯さに本当に頭が下がる思いがしました。

 話は飛びますが、先日、仕事でお付き合いのある、ある読書好きの方からお聞きした話です。明治から昭和にかけて大きな仕事をした経済人が、「人間は苦境に陥ったとき、初めて自己と対峙する。左遷される、大病をする、刑務所に入るというようなときに、初めて自分と向き合う。」という趣旨のことを言っていたそうです。国会議員から服役者へ。あまりにも大きな犠牲を払われましたが、その代わりに得たものは、もう誰も奪うことができない確固たる「自己」のように思いました。