『女装する女』(湯山玲子著、新潮新書)

 京都からの帰りの新幹線の中で読み終えた本。
 なんどか本屋では目にしていたけど、まったく食指をそそられなかった本でしたが、この前読んだ、『無頼化する女たち』(水無田気流著、洋泉新書)で知った著者がこの湯川玲子ならぬ、湯山玲子さん。読んでみると、とてもおもしろかった。林真理子の小説を別のかたちで楽しんだような読後感。
 このひと、クロイヌとほぼ同年代なこともあって、懐かしい名前や話しがでてきました。帯には、「10のキーワードで現代女性を読み解く。」とあります。女性たちがこの本を読んで、共感を覚えるのか、これは違うよと感じるのか、聞いてみたいです。
 あとがきにこんな文章があります。「高度消費情報社会の状況下では、女性を女性たらしめていたいろいろな幻想の鎧がひとつひとつ外されていくわけで、外された後にむき出しになった本体そのものは実は思ったよりもたくましく、自由で、どんでもない個性と欲望が普通に存在したというだけだ。しかし、そこのところが肥大しすぎると今度は社会の方がおじ気づいてしまう。そうなると、コミュニケーションであるとか、生きていくこと自体に問題が生じてしまうので、女性たちは”意思”として、あらためて、鎧を付け直す、というような面倒くさい行為にも手を染めている。」
 われわれ男は、母親から始まって、一生をかけて女性たちを理解しようとしているのかと思うことがあります。でも、女性たちはわれわれよりも一枚も二枚も上手のような存在かなと思わせる著者の語り口です。

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