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『無印ニッポン』(堤清二・三浦展共著、中公新書)

 時差があるとどうしても夜中に起きてしまい本を読んでしまいます。『無印ニッポン』は、セゾングループの総帥だった堤清二さんと、その堤さんのセゾングループに大学を卒業して入社、雲の上の存在だった堤さんと初めて会った作家、三浦展さんのふたりによる対談。堤さん(1927年生まれ)と三浦さん(1958年生まれ)とは、親子ほどの年の差がありながら、副題にある「20世紀消費社会の終焉」とともに、現在とこれからの日本の消費と消費者について、自由に語り合っています。各章のテーマは以下の通り。
 1「アメリカ型大衆消費社会の終わり」
 2「戦後日本とアメリカ」
 3「無印ニッポン」
 4「日本のこれから」
 (ビジネスの)「24時間化が日本人の暮らしをすごくゆとりのない、貧しいものにしたと思います。これがわたしのファスト風土論のテーマの一つでもあります。(中略)正月も休まず24時間営業となると、働く方は生活が解体していく。買う方も、生活にゆとりや落ち着きが、かえってなくなっていく。生活を愛せない人が増えたと思うんです。」(三浦)
 「他人と違うということに耐えきれるのは、ごく少数の人だけでしょう。ふつう、どんな人でも、ローカリティに支えられて、その上で個性を保っていると思うんです。そのローカリティの部分が根こそぎになって、浮遊してしまっているのが、現在の日本人ではないでしょうか。ただ、根無し草では不安だから、拠り所は求めていて、それでいきなり『日本』に飛んでしまう。」(堤)
 この対談は、三浦さんの『下流社会』を読んで、新しい才能を感じたという堤さんからの依頼で実現したもののようです。読売新聞に連載されていた堤さんの「叙情と闘争」にもでてくる逸話もあり、経営者・堤清二に関心を持つボクにとっては、非常に面白い対談でした。