『悲しみは憶良に聞け』(中西進著)_山上憶良はボクらの同時代人

 さきほどマイクロソフトオフィス世界学生大会が明日からある、カナダのトロントに着きました。シカゴ経由で来ましたので、成田をでて16時間ほどかかったように思います。
 タイトルの本は、シカゴまでの機内で読み終えた本です。日本を代表する万葉集の研究家による、万葉歌人・山上憶良に関する一般書です。7世紀後半から8世紀前半に生きたこの歌人をとても身近な存在に感じさせてくれる本。
 山上憶良が朝鮮半島百済に生まれ、4歳で父親とともに日本に来た「在日」という生い立ちを持つという視点からの「在日・帰国子女の悲しみ」から始まって、当時の「都会人としての悲しみ」、「インテリとしての悲しみ」、「ノンキャリア公僕としての悲しみ」、「貧乏としての悲しみ」、「病気の悲しみ」、「老いの悲しみ」、「望郷の悲しみ」、「愛と死の悲しみ」などのテーマで、憶良の歌ととに、この歌人の生涯を紹介してくれます。
 この本を読むと、1000年以上も前の日本で生涯を送った人たちが、ボクたちの同時代人であることを、強く認識すると同時に、万葉集に対する興味をあらためて持つことになります