二つの書籍、二つの裁判

一日中ゴロゴロしながら読書2冊。偶然どちらも裁判に関連する本。
一冊は、山崎豊子著『運命の人』の第三巻。外務省機密漏洩事件に関わる山崎さんの力作。主人公は、一審で無罪、控訴審で有罪、そして最高裁への上告が棄却され、執行猶予つきの有罪が確定します。元外務省職員で、主人公である新聞記者に機密を漏洩する女性に対する山崎さんの視線には厳しいものがあります。(女性のずるさを浮き立たせています)この小説の終わりを飾る第四巻が楽しみです。
もう一冊は、『比島から巣鴨へ』(武藤章著)。副題は、「日本軍部の歩んだ道と一軍人の運命」。著者は東京裁判において、A級戦犯として死刑判決を受け、1948年処刑されます(享年56歳)。処刑された唯一の中将。歴史における評価が難しい人物のひとり。一部からは武闘派と言われるも、合理主義者でもあったのか。
どちらの裁判も勝者あるいは権力者の政治的判断下にあったもの