松本健一著『日本の失敗』(岩波現代文庫)

 先月、松岡正剛さんの「連塾」で、著者である松本健一さんの話をお聞きする機会があり、その場で買った本がこの『日本の失敗』。副題は、「第二の開国」と「大東亜戦争」。著者は、第一の開国が明治維新、第二の開国が大東亜戦争戦後、そして第三の開国は90年代以降現在進行中。現在日本で議論になっている、どれだけ外に開かれた国になるべきなのか、海外諸国との関係構築のありかた、政治と自衛隊の関係、政治家の役割、天皇の位置づけなど、さまざまな論点を考えていく上でヒントになる本です。
 大東亜戦争(太平洋戦争)への過程における日本の政治家の情けなさに今の政治を見る思いをすると同時に、石橋湛山、斎藤隆夫というふたりのすごいジャーナリスト、政治家が、正確な状況分析と自分の信じる議論を展開していたことに、われわれが誇りに思える先輩たちがいたことを改めて思いました。また、アメリカのスチムソン国務長官の日本分析(シビリアンコントロールの欠如が日本の内政の問題であり、それがアメリカをはじめとする諸外国との衝突につながる)の正確さにも感心しました。