木下敏之著『なぜ、改革は必ず失敗するのか』

 今日は、この本をずっと読んでいました。
 著者の木下さんとは、数年前からお付き合いさせていただいていますが、この本を読んで、あらためて立派な方だなと感心しました。また、おつきあいいただき、たいへん光栄だなとも思います。
 39歳の若さで佐賀市の市長になられ、6年半の市長時代、さまざまの改革に挑戦され、成功と失敗を経験されたそうですが、そのときの経験がこの本の中に、率直に書かれています。政治、特に地方政治は理屈ではなかなか行かないものだとあらためて認識します。
 この本の副題には、「自治体の『経営』を診断する」とあるのですが、木下さんは、これからの政治家、特に自治体の政治家には、経営センス、富を創造していく力が必須だとされています。残念ながら、役人にはその経験も、力もないと。ちなみに、ご自身も、農水省の中央官僚だった方です。(「ビジネスの経験も、儲けなければ潰れるというプレッシャーも経験したことがなく、地域振興に失敗しても自分の給料は下がらない。そんな役所や政府が地域振興を考えても、いまの時代に合う策は出てこないのではないでしょうか」)
 また、地方都市が経済的に自立し構造にならなかった理由に関する木下さんの指摘は、鋭いと思います(「私は、小泉純一郎元首相の構造改革路線により格差が拡大したというよりも、地方側が長期間にわたり公共事業中心の地域振興策に依存してきたことに原因があると考えています。地方側から出てくる提案は、残念ながら税収を都市部から地方に移転させよ、という提案ばかりです。」)
 木下さんは、われわれ市民、国民の側にも、現実を直視し、「不都合な真実」から目をそらしてはいけないとはっきり書かれています。そこがまた木下さんのいいところだなと思います。
 現在は、講演活動、コンサルティングなどをなさっていらっしゃいますが、いつか国政レベルで活躍になられることを心から期待しています。木下さんのような方を生かせないとしたら、日本もダメだなとも思います。
 われわれ選挙民こそ、この本を読んだ方がいいというのが、ボクの意見です。
木下さんには、昨年、ボクのポッドキャスティングにもご出演いただきました。お聞きいただければ、うれしいです。
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