『寡黙なる巨人』(多田富雄著、集英社刊)

 先日、ご紹介した『露の身ながら』共著者のお一人である免疫学者・多田先生のエッセイ集。アメリカから帰ってくる飛行機の中で、読み終えました。脳梗塞で倒れられてからの、動かない身体と、発することのできない声という、悲劇的な身体、精神状況の中で、自殺の誘惑に耐えながら、無様な姿をさらしてでもリハビリとともに生きていき、自分の中での新しい「巨人」の誕生と成長を、喜びとともに、綴っています。今年読んだ本の中で一番心に残った本の一冊。