『「心の傷」は言ったもん勝ち』(中嶋聡著、新潮新書)

 一昔前(と言っても、20年、30年前ですが)の日本だと、問題にならなかったようなことが、この頃は大事になります。なかには時代が変わってよかったと思うこともありますが、どうも、「へー、その程度のことが、ハラスメントだとかになるの?!」ということもあります。ハラスメントなんて言葉が一般的に使われるようになって、日本が窮屈になってきているという気もします。(85センチ以上のお腹周りは「メタボ」だとなると、急に「病人」が増える!)

 で、この本の著者ですが、精神科医です。「心に傷を受けた」と言って、出社拒否する無責任社会人に対して、うんざりされているようです。これまで何度も診断書や意見書を書いてくれと頼まれて、つらい立場に立ったことがあるようです。過剰な被害者意識の患者たちには、もううんざりされているのではないかと思います。

 以前書いたことがありますが、ある日本を代表するネット企業のひとつで、企業内の産業医が、社員の愚痴や不平不満をさんざん聞かされた結果、自分自身が精神的な病気になって休むようになったという話を聞きました。この本の著者も、このような本を書かないと、ご自身の心のバランスが取れないのではないかと想像します。
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 一部、「ちょっと言いすぎじゃないの?!」というところがありますが、大筋では同意!「精神力を鍛える七つのポイント」(第7章)の最初に挙げられている、「1.何事も人のせいにしない。」これに尽きるかと思います。

 この方、東大医学部を卒業され、エリート医者のように見えつつも、実はご自身も過去において挫折を経験されているようです。大学卒業後アメリカに渡ったとき、「成績が著しく悪い」ということで、半年でクビになったそうです。日本に帰るため、サンフランシスコ空港から飛行機に乗るとき、またアメリカに来ようと思ったが、そのチャンスは2度と来なかったと書かれています。若い人へのメッセージとして、「与えられた短いチャンスの間に、全力を尽くしてください。」とあります。

 お話の内容を、筆記者がまとめたものかもしれません。文章は時に感情的でもあり、荒っぽい議論も見られるのですが、さきほど書いたとおり、大筋では賛成です。

 著者は僕よりも4年先輩のようですから、たぶん、同じ世代です。ちょっと、「巨人の星」っぽい価値観の影響を、お互い受けているかな?!