『公務員クビ!論』(中野雅至著、朝日新書)

 ちょっと、オチャラケの書名ですが、中味は非常にマジメに書かれています。ひとくくりにされることの多い公務員を、キャリア官僚、ノンキャリア、地方公務員にわけ、マスコミ、政治家、そしてわれわれ国民への、バランスの取れた距離を保ちながら、複数の視点から評しています。公務員の過去、現在、そして未来を、分かりやすい言葉で、偏ることなく、説明してくれているという感想を持ちました。

 国民、特に中間層のニーズを把握するために、ITと図書館が有望だという意見には特に関心を持ちました。図書館をもっと人が集まりたいと思うような場所に変えていく、たとえば(アメリカの図書館のように)起業する人に知識を提供したり、経験者の話を聞くことができるなど、「総合的な知識コンサルテーションの場」にするというのは、すごくいいアイディア!

 著者自身が、地方公務員、キャリア官僚の経験者で、現在は大学教授ということもあり、公務員仕事の実態、意義をよくわきまえた上で、是々非々で議論していることに非常に好感を持ちました。

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