「さらば財務省!- 官僚すべてを敵にした男の告白」(高橋洋一著、講談社)

 ある方からも非常に優秀な方だとお聞きしていた財務省(旧大蔵省)の方です。小泉改革の実質的な「コンテンツ・クリエーター」。東大理学部数学科出身の、異色の元・大蔵官僚。

 僕は数学コンプレックスがあって、大学のころ、数学を勉強しておけばよかったといつも後悔しています。金融の世界にいたころは、オプション理論の本(ブラック=ショールズ)が読めなくて、情けない思いをしました。政治やビジネスの世界で、数学や物理を勉強した人間が、もっと上に立つような社会にならないかと、よく思います。アメリカは数学を勉強した人間が、結構、ビジネスの世界(といっても、僕が知っているのは、金融ですが)には多くいます。法律や経済なんかの勉強も悪くないのですが、数学みたいな自分の頭だけで勝負する学問をやった人間に、もっと出てきてもらいたいし、会社はそんな人間をもっと活用すべきだと思っています。日本社会の弱点のひとつは、法学部出身者が偉そうに権力を握っていること。でも、そんな時代ももう終わりつつあるのでしょうか。

 で、高橋さんの本ですが、たくさん売れることを希望します。われわれ庶民というか、税金を真面目に払っている人間たちは、もっとここで書かれていることを知り、そして真剣に考えるべきだと思います。この本の中で、高橋さんが書かれていることで、一番大切なメッセージのひとつは以下のものです。

 「アメリカでは、「政府は間違える」という前提に立って、三権分立を考えだし、政府の暴走を抑止している。しかし、どうやらこうした性悪説は日本人には馴染まないようで、多くの人が性善説的な考え方に立って、むやみやたらに信じたがる。私はこれが日本国の最大の欠陥だとさえ思っている。とりわけ日本人のお役所に対する信頼は、過信を飛び越えて異常である。」

 1955年生まれでまだ50代前半。これからもご活躍いただきたいです。