「黒山もこもこ、抜けたら荒野-デフレ世代の憂鬱と希望」(水無田気流著)

シアトルから帰りの飛行機の中で読み終えた本。1970年生まれの詩人(2006年中原中也賞受賞)・社会学者による、戦後社会論。1990年代前半に大学を卒業、就職氷河期に社会に押し出された世代の悲劇が繰り返し説明されていて、経済構造の大きな変化と変化の起こるタイミングが社会のみならず、個人に与える影響のことをあらためて考えました。(僕も、そのような変化の中で生きてきたのですが)

 でも、これが経済の現実、厳しいけど。個人の努力では変えようもない大きなトレンドがあることは確かで、そのトレンドにどうやって乗っていくのかがポイント。

 内容だけでなく、ちょっと硬質な表現や言葉の使われ方にも共感を持ちました。(「私の作品の乏しさは、郊外の乏しさそのものである。平準化された均質的な生活、歴史や教養の欠落、そのなかで人工的に促成栽培された野菜のような乏しさである。」 「あらゆるものが、すさまじい速度で書き換えられ、同時に書き換えられたという事実それ自体もまた消去されていっている。」) ご自身の生き様を中心とされた話がとてもよくて、そこから離れたときの話の展開には少々不満もあるのですが、最近読んだ本の中で非常に好感を持って読んだ本です。→作者のHP