「新・学問のすすめ」(和田秀樹著)

灘中・灘高、東大医学部、そして執筆者としても大活躍というような方が、「勉学は自分を信じる者を救う」なんて本を書くと、世間的にはどのような反応があるのかわかりません。が、僕はこの方の書かれていることのほとんどに賛成です。

 「まずは、自分を信じよ。できなければやり方を変えよ。必ずいつか成功の道にぶつかる。あとは、失敗から学べ。」学問を身に付けることだけでなく、ビジネスにおいても同じです。

 また、小学校から大学まで、私立の一貫校に通い、受験勉強で鍛えられたこともなかった人間に、一国のリーダーとしての知的闘争心や知的戦闘能力を期待するなんて、所詮無理だという意見にも、そのリーダーの責任放棄の仕方を見ていると同意せざるを得ないところがあります(この本は、安倍総理の辞任前に書かれています)。

 僕のまわりにおいても、小さい頃から競争にさらされていない若い人たちの自己保身と根拠のないプライドを見ていると、あっという間に年をとっていくこの人たちは、この先どうなるのだろうかと思うこともあります。(この前NHKの「一期一会」で見た東大中退のたくましい若者もいるわけで、一括りにはできないのですが・・・)

 ゆとり教育に賛成した人たち、学校内における競争を悪だと決め付けている人たち、努力するものと努力しないものの間に生まれる格差さえダメだとする人たち。その人たちも、世界の中での日本の位置を知れば、もうすこし違った考えを持つのではないかと思います。(その人たちが、日本もどこかの国の植民地となって、単純労働、低賃金で平均寿命50歳でも、「自分らしく生きることが出来ればいい」という考えならば別ですが) 国民レベルで、世界の競争の現実を知らない、あるいは知ろうとしていないのは、この本の著者ではありませんが、日本と北朝鮮くらいかもしれません。そのくらい、情報鎖国状態に日本はなっているかもしれないです。

 20年後、あるいは30年後、僕は1ドル=300円になっている可能性があると最近思うようになりました。日本の国力が今の三分の一になるということです。そのくらい近年のゆとり教育と、少子化による過保護の弊害が目に付きます。

 うちの会社は資格を商売にしているわけですが、資格取得のメリットのひとつは、目標に向かってすこしでも努力することだと思います。おせっかいな話かもしれませんが、そういう意味もあって、多くの若い方たちにわれわれの試験に挑戦いただきたいと希望しているしだいです。

 そして日本の総理には、「教育、教育、教育!」ともっと叫んでいただきたいです。日本の国力の唯一、最強の源泉は、国民の教育だけですから。