「鉄娘子」の誇り

今朝の読売新聞の「中国細見」というコーナーで、中国の呉儀副首相(69)のさよなら宣言のことが紹介されていました。以下のような発言だそうです。

 「私は完全引退したら、政府関係であろうが、半官組織であろうが、大衆団体であろうが、どんな役職にも就きません。みなさん、私のことは、きれいさっぱり忘れてください。」

 女性副首相として日本でも有名な方ですが、こういう胆力をお持ちの方がトップ層にいらっしゃる中国のことに、この頃関心を持つようになっています。この記事によると、前首相の朱要鎔基は、「辞めたら国民にどんな首相だったと思われたいか」と問われ、「清官(清廉な官吏)だった。そう一言いってもらえれば満足」と答えたそうです。

 このふたつの話、それほど中国での政治家、官僚による腐敗が激しいということの裏返しなのかもしれません。そんな中国の現状でも、強烈な誇りをもって自分の理想を生き抜こうとする真のエリートたちの話にとても関心があります。

 日本の首相にも、お聞きしたいです。「辞めた後、あなたはどんな首相だったと思われたいですか?」と。

 そして、この質問は、僕ら一人ひとりにも返ってきます。会社を辞めた後、あるいはこの世からオサラバした後、なにを残すのか(カネ、家族、それともまったく形のないもの?)、どのように思われたいのか。