「2015年の日本」(野村総合研究所・著)

近未来の日本へのガイドと、予想される困難にどう対処していくべきか、野村総研が基本的な考え方を提示した本。知り合いが著者の一人に含まれていることもあって、購入。

 大学の同級生で、在米の海部さんの言葉「パラダイス鎖国」がこの本の中でも紹介されています。そのほか、黒犬通信でも12月15日に取り上げた「ガラパゴス化現象」。記憶に残ったのは、70年代には意味を持っていた1億人という日本の国内市場の大きさが、21世紀においてはたいした規模ではないという事実。つまり日本国内だけではわれわれ生きていけないよって、話し。

 僕らを取り巻く環境の変化に関して、「グローバルスタンダードは気にくわない」という前に、その変化が必然的に起こっているものなのかどうかを理解する必要があると思うのです。日本国内における議論と日本国外で起こっていることの「格差」があるのかどうか、それにまず気づくことが出発点のように思います。ネットの使い方、お金の使い方、ケータイ電話の使い方、教育の内容(大学入試を中心とした日本の教育)、いろいろな面で、世界との「格差」があることにまず気づくことが出発点なのでは?その上で、「日本も悪くないじゃない!」という点に気づくこともあるだろうし、「やっぱり日本って、おかしいよね!」ということもあるのではないかと思います。

 この本の中で取り上げられていること(「ガラパゴス化現象」の諸事例、グローバル化先進企業のケーススタディ、イギリスの改革の例など)は、日本の経済や政治を考えていく上で参考になりました。明治維新、敗戦に次ぐ、第三の開国が避けられないものであるなら、自らのイニシアティブでそのプロセスを進めていったほうが、市場から加えられる「断罪」を待つよりも、苦痛の度合いは緩和されるのではないかというのが、僕の考えです。