日本政府こそ、最大の円キャリ・トレーダー

昨日(10月5日)の日経新聞『経済教室』に、「外貨準備を考える」というテーマで、早稲田大学の谷内満さんが、明快な論旨を展開されていました。僕はこの方のご意見に賛成の立場です。なお、内容のすべては、こちらのサイトに掲載されています。

以下、要約。

1 外貨準備とは、民間からの借入れで政府が投資・保有している外貨資産である。外貨準備の為替リスクはヘッジされておらず、政府による円キャリトレードである。

2 これまでのところ、運用純益の累計が評価損を上回っているが、今後もし円高になれば評価損が拡大するリスクがあり、その場合は、国民の負担になる。

3 政府による為替相場への介入の結果、外貨準備が起こっているが、介入が為替相場に与える影響は非常に小さい。政府の介入は大きな意味を持たない。

4 これまでの介入の結果として、日本が保有する外貨準備は他の先進国と比べ、金額だけでなく経済規模に比べてもケタ違いに大きい。

5 外貨準備は民間の資金を借りて政府が運用している資産であり、民間が資産運用するより政府がやるほうがうまくいくというようなことはない。

6 現在の外貨準備の8割を売却し、現在の5分の1ほどの水準にすることを提案する。現在、円は主要通貨に対して大幅な円安の水準にあり、外貨準備を売却する好機である。