議論が深まらない国

「問題発言」はいつの時代でもあります。この前も、防衛省の大臣が、原爆投下を容認するような発言をしたとして、辞任に追い込まれました。新聞などでも、「原爆投下はしかたなかった」という部分だけが報道されていて、どのような文脈で、どのような言葉を使っていたのか、よくわかりませんでした。テレビはまったく見ないのですが、どのような報道だったのでしょうか。

先日、産経新聞で、この大臣の講演における、原爆投下に関する前後の部分も含めた内容を読むことができ、朝日新聞や日経新聞の記事とは、すこし異なる印象を受けました。産経新聞のウェブ、izaで読むことが出来ます。これを読んで、皆さんはどう感じますか?(このような形で、「問題発言」をきちんと紹介することは、新聞の大きな役割だと思いますし、新聞とウェブの望ましいシナジーだと思います)

歴史的な出来事、特に日米戦争、日中戦争、そして韓国併合に関しては、きちんと議論がされない、議論することをタブー視する、最初から結論付けた議論しかできない、そして、相反する立場にある陣営同士の議論が深まらないという、残念な状況が戦後ずっと続いているように思います。

ビジネスも同じですが、問題の原因をきちんと直視すること、さまざまな観点から議論する、自分とは相反する立場にたって考えてみる(それは決して同意することとは違う)ことが、大切だと思います。ビジネスのいいところは、政治や教育とくらべて、結果が数字で表れやすいことですが、政治や教育においても、タブーを作ることなく、オープンに議論すればいいのにと思います。

この前、取引先の方々とお会いするため、初めて広島に行きました。平和記念公園の碑には、「過ちは繰り返しません」とありますが、誰がどのような過ちを犯したのか、なぜ、原爆投下にいたることになったのか、そして戦後、アメリカの核の力の庇護のもと、日本の平和が保たれてきたのではないか?これまで60年以上にわたって封印されたまま、「見ない、聞かない、話さない」と避けてきたことがらを、これからも避けていては、肝心のビジネスにおいても、取引先の国々との良好な関係は維持できないのではないかと思います。