イラク戦争

僕もそうですが、イラクでなにが起こっているのか、ほとんどの人はもう関心をなくしてしまっているのかもしれません。実は、イラク戦争は03年3月からの43日間で終わったのではなく、そこから始まったと言えるくらいなのに。

今朝の朝日新聞読書コーナーに、『イラク占領』(パトリック・コバーン著)という本が紹介されています。評者の東京外大の酒井啓子さんによると、著者は、超一流のイラクウォッチャーだそうです。イギリス・インディペンデント紙のジャーナリストです。

パトリック・コバーンと並んで、酒井さんが、パレスチナ報道の第一人者として名前を挙げているのが、ロバート・フィスクこのロバート・フィスクが、自著("Great War For Civilization")について、2006年4月、MITで行なった講演のポッドキャスティングがあります。ロバート・フィスクの紹介は、ノーム・チョムスキーが行なっています。1時間40分ほどの講演ですが、3、4回ほど聴き、そのつど、新しい感動がある話でした。

『イラク占領』の中でも強調されているようですが、ロバート・フィスクの講演の中でも、現在のイラクは、完全な無法地帯となっていて、ジャーナリストたちは、武装された一部の安全地帯の中でのみ、取材せざるを得ない状況になっていることがでてきます。まったく現場取材は不可能なようです。

イラク戦争は43日の前書きのあと、泥沼化した本編がずっと続いている状態で、どうやって終わるのか、その筋書きも見えないありさまです。日本の自衛隊がイラクで活動していたことなど、前書きと本編の間の、ちょとしたエピソードでしかなかったのではないかと思います。ロバート・フィスクは、講演の中で、「イラクが産油国ではなく、主要輸出物がアスパラガスだったら、アメリカはイラクに行っていたのか?」と問いかけています。