国境を越える資格

先月の新聞を読んでいたら、11月27日の日経に、日本政府がIT資格などを中心に、国内資格を相互認証するように、アジア・サミットで提案するつもりだという記事がでていました。資格保有者には、ビザの発給を容易にしようということのようですが、その後、どうなったのでしょうか?

ところで、『私家版・ユダヤ文化論』という新書を読み終えました。アマゾンでも、多くの読者レビューが書かれていて、この本に関心を持っている人は多いのかしら。この本の著者である先生が研究している、エマニュエル・レヴィナス。これまで名前しか知らなかったのですが、アウシュヴィッツを経たこのユダヤ人哲学者を読んでみたいと思いました。レヴィナスから取ったものではないかと思われるのですが、この新書の中でおもしろかったのは、以下のような文章。

ユダヤ人の神は、「救いのために顕現する」ものではなく、「すべての責任を一身に引き受けるような人間の全き成熟を求める」ものであるというねじれ論法をもってレヴィナスは「遠き神」についての弁神論を語り終える。神が顕現しないという当の事実が、独力で善を行い、神の支援ぬきで世界に正義をもたらしうるような人間を神が創造したことを証明している。「神が不在である」という当の事実が「神の普遍」を証明する。(中略)勧善懲悪の全能神はまさにその全能性ゆえに人間の邪悪さを免責する。一方、不在の神、遠き神は、人間の理解も共感も絶した遠い境位に踏みとどまるがゆえに、人間の成熟を促さずにはいない。ここには深い隔絶がある。

ご利益宗教とは、それこそ深い隔絶がある話です。