『回想するヘンリー・ミラー』を読む

Dscf0266_1 ヘンリー・ミラーが晩年話した言葉をまとめた本が、この『回想するヘンリー・ミラー』(水声社)。ヘンリー・ミラーは、大学時代からずっと記憶に残っている作家の一人。(この頃、大学生の頃読んでいた本を、もう一度読むようになっています)

エネルギーと矛盾の塊のようなミラー、世界に向かってほえ叫ぶミラーと好対照な、以下のようなミラーも好きです。

「万一、もう一度この世に生まれることがあれば、選択できるのなら、ぼくは芸術家や作家の人生を生きたいとは思わない。何よりも花を育てる人間になりたい。園芸家の人生はいちばん素朴で、力強く、この上なく純粋で、あらゆる人生のなかで最も自然だからね。庭の手入れをする人間こそが、じかに神と親しく交わっているんだよ。」

ミラーが好きだった、北斎『画狂老人』の文章(「100歳になったときに、わたしの作品は真に崇高となり、百十歳くらいで、わたしの最終目標は達成されるだろう。そのときにわたしの描くあらゆる線や点は命を持つ。」)の紹介、日本男性、日本女性に関する意見など、日本に関する、笑ってしまえるミラーの独断もあります。(「ぼくはつねづね日本人女性について語ってきた。これまで何度も褒め称えてきた。しかし日本人の男は最低だと言わなきゃならないな。」)

ミラーは僕にとっては、最高の作家の一人です。